「立憲主義」という語は、constitutionalismの訳です。どういう「主義」なのでしょうか?
constitutionの訳語としての「憲法」は聖徳太子の「憲法十七条」からきているのでしょう。「憲法改正」を叫ぶ人たちが「憲法十七条」を持ち出す時代錯誤ぶりにも、それなりの理由?があるのです。いまさら別の語をあてるわけにもいかないでしょうけれども、いささか問題のある訳でした。
「法」も問題があります。「法」は仏教用語で、「ダルマ」の漢訳です。近代ヨーロッパでは、natural law (自然法)という場合にキリスト教の影響を受けたように、漢字文化圏の日本では、(漢訳の)仏教思想の影響を受けているに違いありません。キリスト教と law の関係の場合には、問題が問題として自覚されていたのですが、仏教と「法」のいささか厄介な問題については、全然問題視されていません。
このいわくつきの「憲法」に、"-ism" を機械的に訳した「主義」をくっつけた「立憲主義」という語は、ほんとうは理解が難しい語にちがいありません。「立憲主義なんか知らん」と言うのも問題ですが、わかったようなフリをして「立憲主義」をもちだすのも、少々注意が必要です。「立憲主義」とは、ほんとうは何を意味しているのでしょうか。
MMXIII - MMXIV