予備的考察 2 避難とハザードマップ

 

「洪水ハザードマップ」は複数箇所での堤防決壊による最大浸水深を全部合算したものであり、今回の浸水区域がほぼ「洪水ハザードマップ」のとおりになった(ように見えるだけなのですが)のは、あとになってわかったことなのです。「ハザードマップ」があったのに見ていなかったのか、と非難する人たちは勘違いしているのです。鬼怒川東岸が全部浸水して自衛隊の災害派遣車両も水没することを、国土交通省は防衛省に知らせることもできませんでした。9月10日には浸水前の時点ですでに北部の「新石下」でも南部の「水海道」でも道路が渋滞し、市民は身動きのとれない状態でした。

 

 「常総市役所の避難指示の遅れ」を招いたのは、①「三坂町」の破堤の8時間前に始まっていた「若宮戸」の氾濫に、国土交通省下館河川事務所の注意が集中した、②事前のシミュレーションによれば、「若宮戸」での氾濫の場合、「三坂町」は浸水しないこととされていた、③越水の第一報が、三坂町上三坂」をその手前(上流側)100mの「新石下」飛び地と誤認した、そして④その「新石下」にはすでに避難指示・避難勧告が出ていた、などの偶然的要因が重なったことによるものです。