円明園

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 東京の庭園だと周囲のビルや高速道路などが見えるだけでなく自動車の音もたえず聞こえてくるので、都会のどまんなかにいることを一瞬も忘れさせてくれませんが、あまりに巨大な頤和園や円明園は周囲から完璧に隔絶した世界を作っています。頤和園と円明園の中にいると、そこが大都市・北京の近郊であることをまったく感じません。一歩外へ出ると市街地化が進み、地鉄(地下鉄)も地上に出ることなく文字通り地下トンネルのままです。地下鉄4号線・頤和園北門駅の2駅手前が円明園駅です(上の地図のバルーン)。

 円明園というと、アロー号戦争(第二次アヘン戦争、1856年)の際に、大ブリテン連合王国ならびにフランス帝国によって破壊された建造物の写真ばかりが有名ですが、残骸があるのは北東の一角で、広大な敷地には多くの池と橋、園路が展開しています。建物はほとんどなく(残骸を除けば)、歴史的遺跡というよりは、都市住民のためのただの?巨大な公園といった趣です。そうはいっても市街中心から遠いせいか、天壇や北海公園のように、割引料金で入場する中高年の市民が散歩したり踊ったり雑談したりする姿は見られず、けっこうな料金を支払って入場した市民や地方からの観光客が散策しているだけでした。「北京2泊3日コース」には入っていないようで、紫禁城や天壇などのように欧米人観光客が訪れることもありません。(噴水の残骸をみても反応に困るでしょうし。)日本人らしい姿もみかけませんでした。

 「黄華陣」は、皇帝が中心の建物から、同心円状の迷路を右往左往する家臣たちのさまを眺めるためだけの巨大な施設です。その近く、北東の一角が大理石のヨーロッパ風建築、噴水などの残骸です。ひどく破壊されていてもとの姿を想像することすら困難です。写真で有名なのは「大水法」という巨大な噴水で、近くの逆台形の巨大な建造物は噴水に送水するための貯水施設とのことです。

 円弧状に配置された十二支の動物像は、散逸して一部がヨーロッパに渡ったもののレプリカで、映画(『チャイニーズ・ゾディアック』)に使用した後、香港の俳優ジャッキー・チェンが寄付したものです(http://jp.jnocnews.jp/news/show.aspx?id=52554)。東門の手前には、フランスによる円明園破壊を批判したヴィクトル・ユーゴーの胸像があります。