BMWによるリコール隠し

 別ページのとおり、BMWが製造輸出販売しているミニは、国土交通省届出値から大きく逸脱しています。

 この件について、BMWのいわゆる日本法人であるビー・エム・ダブリュー株式会社は、一切の説明を拒んでおり、いかなる是正措置もとっていません。これは、三菱自動車がおかした「リコール隠し」と同様の違法行為です。

 以下、この点に関するビー・エム・ダブリュー株式会社とユーザーとのやりとりを掲載します。

 

 

BMWへの照会文書 9月7日づけ

 

〒100-0062 東京都千代田区丸の内1-9-2 

グランドトウキョウサウスタワー

ビー・エム・ダブリュー株式会社

代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル殿

 

2016(平成28)年9月7日

住所 氏名 

 

照 会 (その2)

 

 私が2016年8月4日付けで、あなたが輸入販売した車両(ミニ・ハッチバック・5ドア・ディーゼル、F55、登録日2016年7月8日)のキャスタ角につき照会した件については、8月6日に御社から委託を受けている会社から電話(0120−093−956、担当○○様)での連絡がありました。それによると、キャスタ角の国土交通省への届出値は、4度20分とのことでした。

 さて、当該車両のキャスタ角の実測値は、左3度24分、右3度12分でした。なお当該車両においては、左前輪のトー、左後輪のトー、左後輪のキャンバ、右後輪のキャンバも基準値から逸脱していたため、これらを補正後のキャスタ角(必然的にトー、キャンバの補正の影響をうけます)の実測値は、左3度16分、右3度07分となっています。当該車両は製造時点において、国土交通省届出値から大きく逸脱していたことになります。

 このため、上記窓口に対して、御社としての対応方針(キャスタ角の補正)につき示すよう求めたところ、8月11日までに回答するとのことでしたが、「対応しない」とのことでしたので、8月12日に上記窓口の○○様を通じて、あらためて補正するよう求め、回答を求めたところです。それに対して、8月20日までは「お盆休業」であるので、「その後、しかるべきものから回答する」旨、お約束をいただきました。

 しかるに、以来、相当の時日を経過しましたが、一向にご回答をいただけず放置されていることについては、誠に遺憾に存じます。

 キャスタ角についての国土交通省届出値から大きく逸脱した車両を製造輸入販売していることは、たんに民法上の不法行為であるにとどまらず、道路運送車両法に違反する違法行為にあたります。

 この件についての御社としての対応方針につき、ご回答ください。本照会ならびに御社の回答は、社会的に公表したうえで(http://yhbmwmini.wixsite.com/buy-a-car)、内容次第では国土交通省に参考資料として提出し、東京地方検察庁に書証として提出いたしますので、かならず書面で回答ください。本件照会内容はすでに1か月以前に通知したとおりですので、2016年9月15日までにご回答ください。

 

 

 

 

 

BMWの回答文書 9月15日づけ

 

BMWへの照会文書 9月17日づけ

 

〒100-0062 東京都千代田区丸の内 1-9-2 

グラントウキョウサウスタワー

ビー・エム・ダブリュー株式会社

代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル殿

 

2016(平成28)年9月17日

住所 氏名 

 

照 会 (その3)

 

 私が2016年9月7日付けで、あなたに送付した照会(その2)に対する、あなたの9月15日付けの「回答」の書面を、2016年9月16日にいただきました。

 従来、あなたは顧客からの問い合わせ等に対しては書面での回答は行わないとしていたところ、このたびはこれまでの誤った対応を是正され書面での回答をおこなったものであり、社会的に妥当な対応をされたものと考えます。

 しかしながら、あなたの「回答」の内容にはさまざまの錯誤があります。ここでは、まず、あなたが「コメントできかねます」とする口実にしている2点、すなわち、測定条件如何の件と、「係争中」という点についての主張の誤謬を指摘した上で、あなたのいう「直進性と回頭性を管理」しているとの主張の錯誤について指摘します。

 それらの点につき検討のうえ再考し、前回9月7日付け書面で照会した件について、あらためて回答するよう求めます。本照会ならびに御社の回答は、社会的に公表したたうえで(http://yhbmwmini.wixsite.com/buy-a-car)、内容次第では国土交通省に参考資料として提出し、東京地方検察庁に書証として提出いたしますので、かならず書面で回答ください。本件照会内容はすでに8月はじめに通知したとおりですので、2016年9月27日までにご回答ください。

 

1 あなたは、当該車両のキャスタ角が国土交通省届出値から逸脱していることについては、「正規ディーラー〔モトーレングランツ〕において、弊社〔ビー・エム・ダブリュー株式会社〕所定の条件の下で測定されたものでない」旨、株式会社モトーレングランツから「聞いております」としたうえで、「ご提示の数値やご要望の対応方針につきましては、測定方法やその他の条件が分かりかね、〔中略〕コメントできかねます」と「回答」されています。

⑴ このうち、「正規ディーラー〔モトーレングランツ〕において、弊社〔ビー・エム・ダブリュー株式会社〕所定の条件の下で測定されたものでない」との点については、これが正規ディーラーの事業所において測定されたものではないとの趣旨であるとすれば、モトーレングランツはそのいずれの事業所においてもホイールアライメントテスタを保有しておらず、そもそもあなたのいうような「正規ディーラーにおいて」測定することなどいかにしても不可能であるのです。かりに急遽機器を購入設置して測定しようとしても、モトーレングランツには日常業務としてホイールアライメントの測定をおこないそれに習熟した整備士は存在しないのであって、これまた急遽当該技能を有する整備士を雇用でもしないかぎり、測定を実施することなどいかにしても不可能なのです。

  なおまた、そのような状況であっては、「弊社所定の条件の下で測定」することなど到底ありえないのであって、あなたの主張は無意味です。

  以上のことから、あなたは、「正規ディーラー」においてはホイールアライメントテスタも保有せず、したがってホイールアライメントの測定やましてその調整作業などおこなっていない事実を了知せず、日常的にそのような業務をおこなっていると誤認したうえで、あえて当方が正規ディーラーの関知しないところで「弊社所定の条件」を無視して測定をおこなって不正確な測定結果を示しているかのように根拠なく推定し、私を非難しているにすぎないわけです。

  あなたは、正規ディーラーの技術水準や日常業務がどのようなものであるかについてあらためてお調べになり、必要な改善措置をおとりになるべきと考えます。

⑵ 私は、「納車」直後の2016年7月12日に、直進性と旋回性の問題を指摘するファクシミリを電送したのですが、上記⑴のとおりモトーレングランツにおいてはアライメントテスタを保有しておらず、この件に習熟した整備士も存在しないとのことであるので、従来私の車両の測定・調整を実施した業者(○○自動車)を紹介したものです。あなたは、当該業者の測定結果について「弊社所定の条件の下で測定」されたものではないなどと、あたかもそれが不当なものであるかのように非難しているのですが、かかる言動は著しく失当であり、当該業者に対してもまことに非礼な行為です。

  私は、ここ20年近く、購入した車両のホイールアライメントに疑問がある場合には、いずれも販売店(正規ディーラー)ないし輸入業者(正規輸入代理店)に要望してアライメントテスタでの測定と調整を求めてまいりましたが、その際に1997年に購入した車両の輸入代理店とディーラーが選定しその委託をうけて測定・調整をおこなったのが上記の○○自動車です。2度目は2005年に購入した別メーカーの車両でしたが、同様に納車時から直進安定性に問題があったので、私から前回の経緯があったので当該業者を紹介し、同業者が正規ディーラーから委託をうけて調整を実施したものです。当然、料金は輸入業者ないし販売店が負担しました。

  今回も、前2回と同様に納車直後から直進性などに問題があったので、同様にアライメント測定・調整を求めたものですが、その際上記のような経緯でその存在を了知していて、しかも前2回ともに問題が完全に解決したことから信頼性も高いと判断して○○自動車を紹介したものです。当然、本車両の搬入・搬出および、作業内容の依頼、「基準値」の告知などは、すべてモトーレングランツがおこなったものです。料金もモトーレングランツが支払ったものであり、私はその金額についても一切了知しておりません。

  以上のような経緯ですから、これについて私の要望であって正規ディーラーの行為ではないかのように誤認し、さらには「弊社所定の条件の下で測定」されたものではないなどと言い倣すことは、事実に反するだけでなく、ホイールアライメント不整の事態に対応する能力を根本的に持たない御社や「正規ディーラー」の責任を等閑に付して、あろうことか誠実に仕事をおこなった○○自動車を非難することは、公正と信義に著しく反するものであり、到底容認できません。

⑶ なお、測定調整について私から質問するなかで、千葉県内の板金修理業者の名も出ました。上記○○自動車と同様の業態であり、実績については具体的に了知していないとはいえ、私には特段それを拒む理由はありませんから、そちらで実施することもさしつかえない旨述べています。最終的にモトーレングランツの判断と責任において○○自動車に委託したことについて、あとになってあなたやモトーレングランツが理不尽な不平を述べるようなことになるとは夢にも思わず、あなたの「回答」文書を見てそのあまりの大人気のなさに心底驚いた次第です。

⑷ さらにまた、「弊社所定の条件」にも疑問があります。上記の全経緯を通じて、「弊社所定の条件」なるものが一切示されていないのは、まことに不思議な話です。「弊社所定の条件」とは何であるか、今日にいたるもあなたは一切明らかにしていないのですが、上記⑴のような状況から考えて、そのような「条件」なるものが存在するかどうかも疑わしいものがあります。

  上記の通り、あなたは「正規ディーラー」においてホイールアライメントの測定調整など一切していないことすら知らない状態なのです。それだけでなく、測定にあたっての機器の選定や実施方法について、御社はあまり経験知識をもたないようですから、「弊社所定の条件」なるものを云々することは、まことに摩訶不思議なものがあります。もし「弊社所定の条件」なるものが存在するというのであれば、是非現物をお示しください。

⑸ 以上の通り、あなたは、○○自動車が実施した測定について、まるで私の独断で委託したかのように誤って指摘した上で、あたかもその数値が信用できないかのように述べているのですが、これは、2016年7月26日付けでモトーレングランツが私に電送したファクシミリの内容(以下に抜粋)を否定することになります。

 

 

 

  すなわち、そこでは、アライメントは「基準値内の数値を示しております」としたうえで、「メーカー及び当社とも、現在、本件自動車に欠陥、瑕疵等は存在しないものと認識して」いるとされていたのです。

  ここで「メーカー」とは、御社のことですから、あなたはかつては○○自動車の測定と調整結果をもって「欠陥、瑕疵等は存在しない」としていたものの、今になって一転して、「測定方法やその他の条件が分かりかね」るので「コメントできかねます」と言っているのです。その都度、都合のよい口実を言い立て虚偽を述べるが、それが事実でないのでつい忘れてしまい、しばらくするとそれと矛盾したことを平気で述べているわけです。虚偽を述べる者の陥りがちな失敗です。

  もっともこのような主張も、たとえば不具合について「保証」修理をおこなって欠陥部品を交換後、「保証」条件によりその現物を引き取ってしまって、ユーザーには何のデータも証拠物件も残されていない場合には有効なのでしょう。しかし、現在「本件自動車」は私の手にあり、(もとより○○自動車の測定結果は有効であって、その必要性はないのですが)今後私は、独自にもあるいは裁判所や検察官、監督官庁の求める方法・主体による測定結果をいくらでも提出することもでき、さらには「本件自動車」を物証として提出することすら可能であるのです。

 

2 あなたは、「コメントできかねます」とする理由として、「同社〔モトーレングランツ〕との間で現在、裁判所における手続きが係属中と聞いております」ことを挙げています。

⑴ これは、そもそも日本の裁判制度についての無理解に発する発言であり、外国車の輸入販売を業とする法人としては、いささか不勉強が過ぎ、日本社会における企業の社会的責任についての御社の姿勢を根本から疑わせるものと言わざるをえません。

  そもそも、「本件自動車」については、国土交通省届出値からの背馳、製造業者としての保証責任の放棄、瑕疵担保責任の不履行という、御社とモトーレングランツによる不法行為・違法行為責任が問われているところです。ユーザーから売渡人に対して民事調停の申立てがなされたからといって、あなたとモトーレングランツが、「始動不能」状態への対応の拒否、「コメント」の拒否などのほか、リコール届出の不実施など、信じがたい子供じみた対応をして、さらなる不法行為・違法行為を重ねていることは到底許されることではありません。

  裁判所への申立てを理由として、当然取るべき対応を拒否するということは、要するに裁判所への申立てをさせない、あるいは取り下げさせるための、不当な圧力に他ならず、日本国憲法の保障する基本的人権に対する侵害行為であって、外国企業の子会社である一企業の行為として、いかにしても看過することできません。

⑵ 最高裁判所が作成した資料によると、調停事件の特徴のひとつとして、「双方が納得するまで話し合うことが基本なので、実情にあった円満な解決ができます」との記述があります。本件申立ては、照会への回答を渋る、保証修理を拒絶する御社の代理店であり、瑕疵担保責任を履行しないモトーレングランツとの話し合いの場を設定しようとするものであって、調停期日におこなわれる話し合いのなかで(あるいは調停期日をまたずとも)、あなたやモトーレングランツが誠実に対応することとし、保証責任および瑕疵担保責任を誠実に果たしさえすればただちに解決するものです。

  あなたやモトーレングランツが本件申立てを口実に、かえって不法行為・違法行為を強めているのは、児戯にも等しい振る舞いであって御社の社会的評価を著しく低下させる、思慮に欠ける行為といわざるをえません。

 

3 あなたは、「お申し出のキャスター角につきましては、弊社では、既に8月12日にお電話でご説明差し上げました通り、その他のアライメント角及び左右差等を含め多面的に考慮したうえで、直進性と回頭性を管理しております。」と述べています。そもそも日本語としての文の構造の乱れがあり、意味の取りにくい文となっています。そのうえで、錯誤にみちた主張をしているので、その点を指摘します。

⑴ 「納車」時点での当該車両の「アライメント角」(ママ)は、(あなたは認めないと強弁しているのですが)前記○○自動車による測定結果のとおり、4輪各々のキャンバ、4輪各々のトー、あわせて8項目中4項目で基準値を外れていました。(トーとキャンバの青字は基準範囲内、同じく赤字は基準範囲外、キャスターの基準範囲が示されていないので黒字)

 

 

  この事実を無視して、あなたは、「キャスター角」と「その他のアライメント角及び左右差等を多面的に考慮したうえで、直進性と回頭性を管理しております」と強弁しているものです。10項目中6項目で基準を逸脱していたのでは、「管理」はできていないと言わざるをえません。BMWが製造するミニにおけるこのようなアライメント不整は、現に車両を保有するユーザーだけでなく、BMWやミニのブランドに寄せる多くの人々の信頼を裏切るものです。トー及びキャンバ(さらに調整不可能なキャスター角にも)製造上の瑕疵があることだけでも重大であるのですが、その事実を否認するあなたの企業経営姿勢は社会的批判を免れるものではありません。

⑵ 操舵輪(前輪)2輪のキャスター角については、あなたが敢えて秘匿していたために、上記測定時点ではその当否が示されていませんが、国土交通省届出値の4度20分からおおきく逸脱しています。なにゆえあなたがキャスタ角を秘匿していたのか理解に苦しむところですが、結局のところ、あなたは調整不可能なキャスター角については、基準値(基準範囲)からの逸脱の事実を隠蔽するために秘匿していたものと判断せざるをえません。

  国土交通省は、キャスター角秘匿の事実について「違和感がある」としており、あなたの一連の行為は今後釈明を求められることになります。