イタイイタイ病の町・神岡

 神岡(かみおか)は、イタイイタイ病の原因企業である三井の神岡鉱山と神岡鉱業の町です。

 しかし、現地ではその事実を示す表示があるわけではなく、「道の駅」も「カミオカンデ」と「ノーベル賞」の宣伝だけしています。なにより、この谷あいの美しい川の名が、「高原川」であるために、不都合な記憶を隠すのです。この「高原川」こそ、「神通川」の上流なのです。(July, 2018)

 左のグーグルマップは、南東から北西を鳥瞰したもので、一番奥左は金沢市、中央は能登半島です。

 富山県富山市と接する岐阜県の最北端にあるのが、2004(平成16)年に、古川(ふるかわ)市と神岡町ほか2村が合併して成立した飛騨市です。

 古川は、鯉の泳ぐ水路が貫流する古い町並みの残る美しい観光地です。(高山ほどではありませんが、外国人観光客も多くなりました。近年は、アニメ映画『君の名は。』にちなんだ「聖地巡礼」ブームもおきたとのこと)

 神岡も、「昭和の町並み」を宣伝しているようですが、古川の賑わいとは対照的に夏休みシーズンでも観光客の姿は皆無でした。

 長野県松本市から安房(あぼう)峠を越え(現在は安房峠トンネルにより峠越えは飛躍的に楽になりました)、上高地入り口の沢渡(さわんど)、奥飛騨温泉郷を経て富山へ抜ける道路は、いつも空いています。

 神岡町にはいると、国道沿いの「道の駅」では「カミオカンデ」と「ノーベル賞」の町として神岡を紹介しています。

 「道の駅」内部での「スーパーカミオカンデ」関連の展示です。

 実物は直径40メートル、深さ41.4メートル、容量50,000トンですから、この大きさで「レプリカ」というのはいかがなものかと思います。

 この巨大な空洞は神岡鉱山の採掘跡です。鉛と亜鉛を大量に産出したのですが、そこに混じっていたカドミウムが、ずさんな製錬工程によって高原川に流され続けたことは、一切説明がありません。

 

 

 高原川は北流し、富山県境で古川を通って同じく北流してきた宮川と合流し、富山湾に注ぎます。これが神通川(じんつうがわ、あるいは、じんづうがわ)です。

 富山平野の神通川流域では、その水が米作のための用水となり、また飲用水ともされたのでした。ここで多くのひとびとがとりわけ骨格をおかされ、苦しみ続けることになります。「イタイイタイ病」です。

 上のグーグルマップは、神岡町市街の北端を南西から北東方向に鳥瞰したものです。右下から左上へ流れるのが、神通川上流の高原川です。

 市街の北端を拡大したのが左の写真です。段丘面にいまなおあるのが神岡鉱業です。

 神岡鉱業の北西端です。上の写真で神岡鉱業の一番大きな建物がみえますが、この写真の建物です。

 奥に見える山は排出された煤煙により禿山となり、現在も回復していません。上の写真をみると、禿山が大きく広がっているのがわかります。

 そこから、高原川と対岸をみたところです。雪よけの構造の下は国道41号線です。名古屋から、小牧、美濃加茂、下呂、高山、古川を通り、そこからは宮川沿いではなく、南東側の谷沿いにこの神岡に抜けてきます。この北で神通川に沿って富山に至ります。

 「イタイイタイ病」さえなければ、たいへん美しい風景です。

 上の写真の手前下です。樹木の陰になっているうえ、説明もないのでよくわかりませんが、神岡鉱業からの排水口のようです。

 橋の上から、高原川の上流方向を振り返ったところです。左側=東側にひろがるのが神岡鉱業です。

 下流の人々がその水を飲み、その水で米を育てる、このじつに美しい川に、長い年限にわたって毒物を流し続け、人々に耐え難い苦しみを与え続けたあとになって、いまさらという気がしますが、「環境安全最優先」の標語が見えます。