旧首都メアリーズビルの中華街
現在のカリフォルニア州 California State の首都はサクラメント Sacramento ですが、州成立(1850年)当初はそこから北へ70kmのメアリーズビル Marysville が首都でした(地図中の赤バルーン)。「ゴールドラッシュ」の中心拠点だった町です。金鉱山の労働力となっただけでなく、とりわけ鉄道建設の労働力を担った中国人移民が多数居住していました。メアリーズビルには現在もゴールドラッシュのなごりとともに、「全米第二」の中華街 China Town が存在します。
ただし、横浜や神戸・長崎、あるいはサンフランシスコの中華街のように、数百軒の飲食店や土産物屋が連なって観光地ともなっている大規模な中華街ではありません。 旧首都とはいえ、現在のメアリーズビルの人口はわずか1万2千人ほどです。その小さな市街の南端、フェザー・リバーに合流するユーバ・リバーの北岸にいくつかの「会館」と道教寺院「北溪廟 Bok Kai Temple 」 があります。
毎年、中国の旧正月すなわち「春節(しゅんせつ)」には、道教寺院「北溪廟 Bok Kai Temple 」の名を冠した大規模な祝祭がおこなわれます。戌(狗 いぬ)年の2006年は、3月4日(土曜)に恒例のボッカイ・パレードがありました。主催者は中国系住民の団体なのですが、参加者も見物人も、メアリーズビルが属するユーバ郡 Yuba County はもちろん、西隣のユーバ・シティー Yuba City などのサター郡 Sutter County 、さらにはサクラメントからやってきた人たちです。ヨーロッパ系・ヒスパニック系・アジア系・アフリカ系の人々などじつに多彩です。
(少々ややこしいのですが、フェザー・リバー東岸に、メアリーズビル市が属するユーバ郡 Yuba County があり、西岸にサター郡 Sutter County に属するユーバ・シティー〔ユーバ市〕 Yuba-City があります。ユーバ・リバー Yuba River もユーバ郡側です。)
上流にオーロビル・ダムがあるフェザー・リバーと、ユーバ・リバーの合流地点です。画面上がメアリーズビルの市街地の南半分です。フェザー・リバーの対岸は人口6万人あまりのユーバ・シティーです。
黄矢印が道教寺院「北渓廟」(ボッカイ・テンプル Bok Kai Temple)、その北東一帯が中華街です。次の写真が、ユーバ・リバー右岸(北岸)の堤防上から「ボッカイ・テンプル」の南側、正面入り口を見たところです。
右上の、カリフォルニア州とユーバ郡が設置したプレートの説明によると、Bok Kai Temple(北渓廟)は、当初1850年代にこの近くに建てられたが、1866年以来の事業により、1880年3月21日、集会所、学校、礼拝所としてここに移設された、とあります。
北渓廟のウェブサイト(http://www.bokkaitemple.com)によると、もとの廟は、ユーバ・リバーの上流方向2ブロックの地点にあったようです。
ボッカイ・テンプル(北溪廟)の北東側の中華街にある「会館」です。「会館」とは、商工業者の親睦組織で、左は「合勝堂」、右は「 Suey Sinc (Suey は草かんむりに卒、Sinc は勝)工商支会」とあります。
パレードする人々の多くが、「カメラ目線」です。地元のケーブルテレビ局のテレビ・カメラの他には、一眼レフカメラでパレードを連写しているのは、当 naturalright.org 以外にはあまりいないようなので、特別大サービスというところでしょう。
1 中国系アメリカ人・ミャオ族・会計事務所・連邦下院議員・犬
ボッカイ・パレードの先頭の銅鑼や衛兵に続いて、カブリオレやクラシックカーに乗って、主催者である中国系アメリカ人たちが登場します。その自信に溢れた顔をご覧ください。戌(いぬ)年ということで、犬たちも飼い主に引っ張られてパレードしますが、延々と歩いてきて、皆いささかお疲れのようです。連邦議会議員、初等学校や高校のブラスバンド、会計事務所や空手道場などさまざまな団体・個人が通ります。
「2006年ボッカイ祭り 副最高責任者 ベン・トム」
地元選出のウォリー・ハーガーWally Herger連邦下院議員( 1987-2013年、共和党、1945年ユーバ・シティー生まれ)
韓国系空手道場の集団演舞
民族衣装のモン人 Hmong (苗族 ミャオ族)
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2 クラシックカー、中国系アメリカ人、老人、少年、馬、犬
星条旗と、青天白日満地紅旗(せいてんはくじつまんちこうき)、つまり中華民国国旗を持っています。
メアリーズビル市は、台湾(中華民国)の「北港 Peikang 鎮」と姉妹都市らしく、このご婦人は友好協会の総裁のようです。
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3 ミス・ユーバ・サター、郡保安官立候補者、兵士、犬、龍
ミス・ユーバ・サターの3人
「ジャック大好き!」
「ジャック・ビーチャムをユーバ郡保安官に」
メアリーズビル市が属するユーバ郡 Yuba County の保安官 Sheriff 選挙に立候補するジャック・ビーチャム Jack Beecham の後援団体のようです。
郡保安官は、司法権・警察権をもつ郡 county の最高職で、住民の選挙でえらばれます。
「徳福」というのは何なのかわかりませんが、車に貼られたステッカーには「スティーブン・ダーフォア Steven Durfor をユーバ郡保安官に選ぼう」とあります。ジャック・ビーチャムの対立候補です。
このあとの選挙で、ジャック・ビーチャムではなく、こちらのスティーブン・ダーフォアが第27代保安官に当選したようです(http://sheriff.co.yuba.ca.us/Administrative/Sheriff.aspx)。
両脇は奥さんと娘さんなのでしょうか。
パレードの最後の蛇踊り。長崎の蛇踊りと似ています。
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4 (大蛇がでたところで蛇足) Ben Ali の大集団
パレードのなかばほどで、“Ben Ali” という帽子をかぶった老人たちが手を替え品を替え、いろいろな乗り物に乗って行進していました。他の団体は、何十人いても、せいぜい50メートルほどでおさまるのですが、“Ben Ali” 集団は、まるで宝塚のフィナーレのように延々と何百メートルも続き、なかなか終わりません。こうなると見物人が楽しむというより、自分たちだけで楽しんでいるという風情です。
地元の老人クラブか何かだろうと思って見ていたのですが、何年もたってからサクラメントの中国系アメリカ人が、サクラメントを本拠地とするユダヤ系の団体だと教えてくれました。 “Ben Ali Shrine” のウェブサイト(http://www.benalishrine.org)を見ると、病院経営などいろいろな活動をしているようですが、このようにあちこちのパレードをみつけては皆で参加して楽しんでいるようです。
子どものように楽しそうな“Ben Ali” の老人を、つまらなそうに見ている子ども。
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