1965(昭和40)年の河川法改正を受けて、翌1966(昭和41)年12月、建設大臣が鬼怒川の河川区域を告示しました。この告示においては、若宮戸(わかみやど)の河畔砂丘( river bank dune )の主要部分は河川区域から除外されました。大部分が河川区域外とされた若宮戸河畔砂丘は、、1960年代後半から70年代前半にかけて河川区域内をも含む全域で砂の採取を目的とする大規模な掘削が実施されました。
そのため、若宮戸の河畔砂丘の主要部分の形状は大きく変化し、もはや「河畔砂丘だったところ」というほかない状況に変貌しました。もし、このような河畔砂丘の破壊がおこなわれることがなく、従来の形状が維持されていたとするならば、2015(平成27)年9月の氾濫は起きなかったと考えられます。
この項目「若宮戸における河川管理史」においては、河川区域境界線に留意して若宮戸河畔砂丘の形状変化の経緯を通観します。最初に、1960年代以前の河畔砂丘の概要を確認したうえで、1960年代から70年代の掘削状況、さらに2014(平成26)年のソーラー発電業者による最後の砂丘掘削と、2015(平成27)年9月の氾濫から堤防建造までを、航空写真・衛星写真・地図で一覧します。