基本設計 サスペンションとステアリング
福野礼一郎が、「この10年間で最も期待ハズレだったフルモデルチェンジ」の例、しかも唯一の例として、F54、F55、F56、つまり、このウェブサイトで問題になっているミニ・ハッチバックのマーク3の3ドアと5ドア、クラブマンをあげています(『新車インプレ2016』2016年、三栄書房、p. 126.)。しかし、何がどのように「期待ハズレ」だったのか一切説明がないので、どういう趣旨なのかさっぱりわかりません。
この際当ウェブサイトなりに、勝手に敷衍させていただくことにいたします。すなわち、BMWのミニは、マーク2、マーク3と、キープコンセプトが過ぎて、下手をすると21世紀初頭発売の、ということは20世紀末葉設計の、いささか時代遅れのマーク1の設計思想がいまなお継承されているのです。
キープコンセプトと言われている割には、比較すると誰がみてもずいぶんな変化がおきています。全体のスタイルとしてはウエストライン以下が縦にも横にも肥大し、その分グラスエリア丈が低くなって、結局のところバランスが変化してしまっています。マーク1、マーク2の軽快感が薄れ、鈍重になっています。対歩行者衝突安全性の確保のために、ボンネットフードとエンジンとの間に空間を取る必要があり、ボンネットからウェストライン全部を引き上げざるをえなかったのだと思われます。ファニーな気分が強まったのでそういうものを好む人には良いかもしれませんが、劣化したと言えないこともありません。そのうえ細部のどうとでもなる部分では、テールランプを無意味に幅広にしてしまいました。全体にしても細部にしても、良くなったと言っている人はあまりいません。したがって太鼓持ちたちはこの件では気がつかないふりをして無言を貫いています。(そのかわりに全幅が1700ミリを超えて、3ナンバーになったのでもはや「ミニ」ではないなどと、とんちんかんなことを言っているのです。)
もっとも、フォルクスワーゲンを除いてここ数年のドイツ車のデザインの下品なことは目を覆わんばかりで、とくにメルセデスベンツとBMWのセンスの悪さは、ひどいものです。メルセデスベンツの最大の売りである正面デザインは爬虫類的な攻撃性に満ちており、それでいて全体デザインは統一性に欠けた軟体動物的な曲面で覆われています。BMWはそこまでひどくはありませんが、ヌメッとした不統一性が支配的で(不統一性という統一性?)、それでいてサメのような冷淡さに満ちています。それらに比べるとミニなどまだしも愛嬌に満ちてはいますが、度が過ぎて軽快さを欠いています。BMWの下位グレードは今後全部ミニと共通車台、共通機関系になるようですから、BMW本体とミニ・ブランドのデザイン劣化は表裏一体のものとして進行中なのです。
しかし、そんなことはどうでもよいことです。基本性能と無関係な車両外板の表面的相貌などしょせんは無意味な事柄であり、自動車の設計思想を考える上では決定的要因ではありません(歩行者への衝突攻撃性の問題を除けば、せいぜい空気抵抗に少々の影響を与えるくらいでしょう)。自動車のもっとも基本的な要素は、サスペンションと動力系です。もちろんそれらはとくにステアリング特性という形で一体のものとして現れるのであり、分けて考えることはできません。とりわけFF(エンジン前部搭載・前輪駆動)の場合、サスペンション、エンジン、トランスミッション、ステアリング機構は一体のものとして組み立てられた上で、その一かたまりが組み立て工程の後半にはいった時点で車両に下から嵌め込まれ、一瞬のうちに完成形へと近づくのです。
情報隠蔽がひどいので今のところ詰めた話はできないのですが、どうやら最大の問題であるキャスタ角については、20世紀末の古い設計思想をずるずると継承した上に、その上どういうわけかその設計値を大きく下回る、低キャスタ角の車が製造販売されているのです。FRをFFにすることには、製造段階の「合理化」=コストダウンという至上命令があるのでしょうが、直進安定性の低下を招くキャスタ角の低角度設定には何の利益も意味もないはずです。角度を増やせば直進安定性が高まる一方で、必然的にせいぜいハンドルが重くなるくらいのものです。しかし、そんなものはパワーステアリングでいくらでも補正が効くのです。しかもプログラミング次第でどうとでもなる電動パワーステアリングであれば簡単に解決できるはずなのです。
それでも、ミニは2014年のマーク3において、おそらく旧モデルをそのままひきついで、4度20分という低角度キャスタ角をそのまま維持した上、実際の製造段階においては、そこから1度も下回る3度20分程度の製品として出荷されているのです。この低角度キャスタ角は、ほとんど時代遅れと言ってよいでしょう。
しかし、角度を変更するとすべての基本寸法に影響がおよび、基本骨格、サスペンション部品を全部設計し直し、すべての金型を一から作り直さなければならないことになるために、BMWは車台全体については新設計としたにもかかわらず、前輪のサスペンションとステアリング、駆動系の基本配置については一切の変更をおこなわず、旧型の設計をそのまま継承したようなのです。
これに中立付近で極度にクイックなステアリング特性と、妙に重いだけで路面フィーリングを一切伝えない異様な電動パワーステアリング特性、さらに燃費データのための低転がり抵抗タイヤによる低グリップが重合して、セルフアライニングトルク(ステアリングの中立への自己復元力)の欠如した、直進安定性の片鱗もない車両がつくられることになるのです。
路面フィーリングに欠けたステアリング特性を、しばしば「ゴムの棒を捻るような」と言うようですが、ゴムの棒ならまだ復元力が働くわけで、ミニのステアリング操作感覚を表現する言葉としては適切ではありません。ゲル状物質をかき混ぜるような、妙に抵抗があって、しかし復元力が一切感じられない触覚なのです。
さきほどの福野礼一郎の本には、つぎのような一節があります。
「ゴルフVIIの1.4に2年間乗ってからBMWアクティブツアラー218dに買い替えた知人が、「高速でぜんぜん真っすぐ走らない」と悶絶していて、お薦めしてしまった手前ちょっと心が痛んだ。」(同書、p. 46.)
福野礼一郎にして、乗ったこともない車を「知人」に薦めてしまうようなのです。それほどBMWというのは、定評のある車だということなのです。それはともかく、福野はこう続けます。
「クルマは真っすぐ走るのがなによりまず基本である。こういうときはまずアライメント調整だ。それでダメならタイヤ。大抵それで直るが、それでもダメなら初めてサスを疑う。」
アライメントとは別の、最後に疑われる「サス」とはいったいなんのことか見当もつきません。アライメント調整といっても、これらの車両のキャスタ角は(大がかりな改造でもしない限り、絶対に)調整不可能なのです。いずれにしても福野はこの車については伝聞でしか語っていないので、ここで彼の話を真に受けるのは間違いなのかもしれません。しかし、ミニと基本設計を共有するFFのBMW車両において、「真っすぐ走らない」現象が起きていることは事実のようです。ミニハッチバック・マーク3の直進安定性の欠如は、BMW本体の車両と無関係の事象ではないのです。
この問題は、たんにユーザー泣かせの不具合の放置という次元ではけっして終わりません。BMWの将来がかかっている、つまりBMWの自滅への道が大きく踏み出されてしまっていて、もはや後戻りが難しくなっている、そういう問題なのです。
製造品質
基本設計とは別に、製造過程での精度管理の問題があります。
設計値4度20分に対して、実際の車両でそこから1度もズレた値になっているのです(当該車両では左が3度24分、右が3度12分)。60進法を十進法に直して計算すると、設計値は4.33度、実車の左が3.4度、右が3.2度です。じつに25%以上も下回っているのです。
たった1度くらいどうということはない、などということはありません。たとえば、これが車体全長だとすると、4.33mのはずが、3.2mしかないということになります。代金433万円のうち、320万円しか支払わないということです。馬鹿げた比喩だと言って笑うことはできません。キャスタ角の違いは車両の性能を決定的に変えるのです。
それにしてもよくわからないのは、いったいBMWは、4度20分のつもりで製造しているのでしょうか。それとも、公称4度20分だが、実際には最初から3度20分のつもりで作っているのでしょうか。このいずれなのでしょうか。これは、BMW自身しか知りえない事実です。なんとなく後者のような気がするのですが、いくらなんでもそれではひどすぎますから、一応ここでは前者だということで話をすすめることにします。
さてそうすると、4度20分のつもりでつくっているのだが、できたものは3度20分になっているというわけで、想像を絶する事態であり、こうなるとBMWは看板をたたむことを真剣に考えるべきです。
BMWは製造品質がきわめて悪い、というだけではありません。ついでにはっきりしたのは、BMWは製造過程ではアライメントの測定はしていない、ということが歴然たる事実となったのです。ただの1台でもデタラメな数値の製品が販売されていることからも、そのことに疑問の余地はありません。しかし、たった1台の「個体差」などということではありません。F55とF56の車両を数台運転しましたが、同様のハンドリング傾向でした。調整不可能ということは、製造時の誤差などによる偏倚などではなく、全部が同じ数値になっているということです。
なにより問題なのは、これが国土交通省への届出値から大きくずれているということです。ふたたびたとえ話をしますが、国土交通省への届出値と、実際の有害排気ガスの排出量が25%ずれていたらどうなるか、という問題です(下回っていれば結構ですが、上回っていたら大変です)。しかもそのことをBMWは、隠蔽しているのです。
以上は、購入直後の車両がまっすぐ走らないことから、いわば偶然的に判明した事実です。しかし、これは車両の性能の根幹にかかわる問題であり、しかも国土交通省への届出値を大きく逸脱していることをメーカーが隠蔽しているという、あきらかな違法行為の存在が、疑いの余地なくあきらかになった問題なのです。
基本設計 サスペンションとステアリング
福野礼一郎が、「この10年間で最も期待ハズレだったフルモデルチェンジ」の例、しかも唯一の例として、F54、F55、F56、つまり、このウェブサイトで問題になっているミニ・ハッチバックのマーク3の3ドアと5ドア、クラブマンをあげています(『新車インプレ2016』2016年、三栄書房、p. 126.)。しかし、何がどのように「期待ハズレ」だったのか一切説明がないので、どういう趣旨なのかさっぱりわかりません。
この際当ウェブサイトなりに、勝手に敷衍させていただくことにいたします。すなわち、BMWのミニは、マーク2、マーク3と、キープコンセプトが過ぎて、下手をすると21世紀初頭発売の、ということは20世紀末葉設計の、いささか時代遅れのマーク1の設計思想がいまなお継承されているのです。
キープコンセプトと言われている割には、比較すると誰がみてもずいぶんな変化がおきています。全体のスタイルとしてはウエストライン以下が縦にも横にも肥大し、その分グラスエリア丈が低くなって、結局のところバランスが変化してしまっています。マーク1、マーク2の軽快感が薄れ、鈍重になっています。対歩行者衝突安全性の確保のために、ボンネットフードとエンジンとの間に空間を取る必要があり、ボンネットからウェストライン全部を引き上げざるをえなかったのだと思われます。ファニーな気分が強まったのでそういうものを好む人には良いかもしれませんが、劣化したと言えないこともありません。そのうえ細部のどうとでもなる部分では、テールランプを無意味に幅広にしてしまいました。全体にしても細部にしても、良くなったと言っている人はあまりいません。したがって太鼓持ちたちはこの件では気がつかないふりをして無言を貫いています。(そのかわりに全幅が1700ミリを超えて、3ナンバーになったのでもはや「ミニ」ではないなどと、とんちんかんなことを言っているのです。)
もっとも、フォルクスワーゲンを除いてここ数年のドイツ車のデザインの下品なことは目を覆わんばかりで、とくにメルセデスベンツとBMWのセンスの悪さは、ひどいものです。メルセデスベンツの最大の売りである正面デザインは爬虫類的な攻撃性に満ちており、それでいて全体デザインは統一性に欠けた軟体動物的な曲面で覆われています。BMWはそこまでひどくはありませんが、ヌメッとした不統一性が支配的で(不統一性という統一性?)、それでいてサメのような冷淡さに満ちています。それらに比べるとミニなどまだしも愛嬌に満ちてはいますが、度が過ぎて軽快さを欠いています。BMWの下位グレードは今後全部ミニと共通車台、共通機関系になるようですから、BMW本体とミニ・ブランドのデザイン劣化は表裏一体のものとして進行中なのです。
しかし、そんなことはどうでもよいことです。基本性能と無関係な車両外板の表面的相貌などしょせんは無意味な事柄であり、自動車の設計思想を考える上では決定的要因ではありません(歩行者への衝突攻撃性の問題を除けば、せいぜい空気抵抗に少々の影響を与えるくらいでしょう)。自動車のもっとも基本的な要素は、サスペンションと動力系です。もちろんそれらはとくにステアリング特性という形で一体のものとして現れるのであり、分けて考えることはできません。とりわけFF(エンジン前部搭載・前輪駆動)の場合、サスペンション、エンジン、トランスミッション、ステアリング機構は一体のものとして組み立てられた上で、その一かたまりが組み立て工程の後半にはいった時点で車両に下から嵌め込まれ、一瞬のうちに完成形へと近づくのです。
情報隠蔽がひどいので今のところ詰めた話はできないのですが、どうやら最大の問題であるキャスタ角については、20世紀末の古い設計思想をずるずると継承した上に、その上どういうわけかその設計値を大きく下回る、低キャスタ角の車が製造販売されているのです。FRをFFにすることには、製造段階の「合理化」=コストダウンという至上命令があるのでしょうが、直進安定性の低下を招くキャスタ角の低角度設定には何の利益も意味もないはずです。角度を増やせば直進安定性が高まる一方で、必然的にせいぜいハンドルが重くなるくらいのものです。しかし、そんなものはパワーステアリングでいくらでも補正が効くのです。しかもプログラミング次第でどうとでもなる電動パワーステアリングであれば簡単に解決できるはずなのです。
それでも、ミニは2014年のマーク3において、おそらく旧モデルをそのままひきついで、4度20分という低角度キャスタ角をそのまま維持した上、実際の製造段階においては、そこから1度も下回る3度20分程度の製品として出荷されているのです。この低角度キャスタ角は、ほとんど時代遅れと言ってよいでしょう。
しかし、角度を変更するとすべての基本寸法に影響がおよび、基本骨格、サスペンション部品を全部設計し直し、すべての金型を一から作り直さなければならないことになるために、BMWは車台全体については新設計としたにもかかわらず、前輪のサスペンションとステアリング、駆動系の基本配置については一切の変更をおこなわず、旧型の設計をそのまま継承したようなのです。
これに中立付近で極度にクイックなステアリング特性と、妙に重いだけで路面フィーリングを一切伝えない異様な電動パワーステアリング特性、さらに燃費データのための低転がり抵抗タイヤによる低グリップが重合して、セルフアライニングトルク(ステアリングの中立への自己復元力)の欠如した、直進安定性の片鱗もない車両がつくられることになるのです。
路面フィーリングに欠けたステアリング特性を、しばしば「ゴムの棒を捻るような」と言うようですが、ゴムの棒ならまだ復元力が働くわけで、ミニのステアリング操作感覚を表現する言葉としては適切ではありません。ゲル状物質をかき混ぜるような、妙に抵抗があって、しかし復元力が一切感じられない触覚なのです。
さきほどの福野礼一郎の本には、つぎのような一節があります。
「ゴルフVIIの1.4に2年間乗ってからBMWアクティブツアラー218dに買い替えた知人が、「高速でぜんぜん真っすぐ走らない」と悶絶していて、お薦めしてしまった手前ちょっと心が痛んだ。」(同書、p. 46.)
福野礼一郎にして、乗ったこともない車を「知人」に薦めてしまうようなのです。それほどBMWというのは、定評のある車だということなのです。それはともかく、福野はこう続けます。
「クルマは真っすぐ走るのがなによりまず基本である。こういうときはまずアライメント調整だ。それでダメならタイヤ。大抵それで直るが、それでもダメなら初めてサスを疑う。」
アライメントとは別の、最後に疑われる「サス」とはいったいなんのことか見当もつきません。アライメント調整といっても、これらの車両のキャスタ角は(大がかりな改造でもしない限り、絶対に)調整不可能なのです。いずれにしても福野はこの車については伝聞でしか語っていないので、ここで彼の話を真に受けるのは間違いなのかもしれません。しかし、ミニと基本設計を共有するFFのBMW車両において、「真っすぐ走らない」現象が起きていることは事実のようです。ミニハッチバック・マーク3の直進安定性の欠如は、BMW本体の車両と無関係の事象ではないのです。
この問題は、たんにユーザー泣かせの不具合の放置という次元ではけっして終わりません。BMWの将来がかかっている、つまりBMWの自滅への道が大きく踏み出されてしまっていて、もはや後戻りが難しくなっている、そういう問題なのです。
製造品質
基本設計とは別に、製造過程での精度管理の問題があります。
設計値4度20分に対して、実際の車両でそこから1度もズレた値になっているのです(当該車両では左が3度24分、右が3度12分)。60進法を十進法に直して計算すると、設計値は4.33度、実車の左が3.4度、右が3.2度です。じつに25%以上も下回っているのです。
たった1度くらいどうということはない、などということはありません。たとえば、これが車体全長だとすると、4.33mのはずが、3.2mしかないということになります。代金433万円のうち、320万円しか支払わないということです。馬鹿げた比喩だと言って笑うことはできません。キャスタ角の違いは車両の性能を決定的に変えるのです。
それにしてもよくわからないのは、いったいBMWは、4度20分のつもりで製造しているのでしょうか。それとも、公称4度20分だが、実際には最初から3度20分のつもりで作っているのでしょうか。このいずれなのでしょうか。これは、BMW自身しか知りえない事実です。なんとなく後者のような気がするのですが、いくらなんでもそれではひどすぎますから、一応ここでは前者だということで話をすすめることにします。
さてそうすると、4度20分のつもりでつくっているのだが、できたものは3度20分になっているというわけで、想像を絶する事態であり、こうなるとBMWは看板をたたむことを真剣に考えるべきです。
BMWは製造品質がきわめて悪い、というだけではありません。ついでにはっきりしたのは、BMWは製造過程ではアライメントの測定はしていない、ということが歴然たる事実となったのです。ただの1台でもデタラメな数値の製品が販売されていることからも、そのことに疑問の余地はありません。しかし、たった1台の「個体差」などということではありません。F55とF56の車両を数台運転しましたが、同様のハンドリング傾向でした。調整不可能ということは、製造時の誤差などによる偏倚などではなく、全部が同じ数値になっているということです。
なにより問題なのは、これが国土交通省への届出値から大きくずれているということです。ふたたびたとえ話をしますが、国土交通省への届出値と、実際の有害排気ガスの排出量が25%ずれていたらどうなるか、という問題です(下回っていれば結構ですが、上回っていたら大変です)。しかもそのことをBMWは、隠蔽しているのです。
以上は、購入直後の車両がまっすぐ走らないことから、いわば偶然的に判明した事実です。しかし、これは車両の性能の根幹にかかわる問題であり、しかも国土交通省への届出値を大きく逸脱していることをメーカーが隠蔽しているという、あきらかな違法行為の存在が、疑いの余地なくあきらかになった問題なのです。
基本設計 サスペンションとステアリング
福野礼一郎が、「この10年間で最も期待ハズレだったフルモデルチェンジ」の例、しかも唯一の例として、F54、F55、F56、つまり、このウェブサイトで問題になっているミニ・ハッチバックのマーク3の3ドアと5ドア、クラブマンをあげています(『新車インプレ2016』2016年、三栄書房、p. 126.)。しかし、何がどのように「期待ハズレ」だったのか一切説明がないので、どういう趣旨なのかさっぱりわかりません。
この際当ウェブサイトなりに、勝手に敷衍させていただくことにいたします。すなわち、BMWのミニは、マーク2、マーク3と、キープコンセプトが過ぎて、下手をすると21世紀初頭発売の、ということは20世紀末葉設計の、いささか時代遅れのマーク1の設計思想がいまなお継承されているのです。
キープコンセプトと言われている割には、比較すると誰がみてもずいぶんな変化がおきています。全体のスタイルとしてはウエストライン以下が縦にも横にも肥大し、その分グラスエリア丈が低くなって、結局のところバランスが変化してしまっています。マーク1、マーク2の軽快感が薄れ、鈍重になっています。対歩行者衝突安全性の確保のために、ボンネットフードとエンジンとの間に空間を取る必要があり、ボンネットからウェストライン全部を引き上げざるをえなかったのだと思われます。ファニーな気分が強まったのでそういうものを好む人には良いかもしれませんが、劣化したと言えないこともありません。そのうえ細部のどうとでもなる部分では、テールランプを無意味に幅広にしてしまいました。全体にしても細部にしても、良くなったと言っている人はあまりいません。したがって太鼓持ちたちはこの件では気がつかないふりをして無言を貫いています。(そのかわりに全幅が1700ミリを超えて、3ナンバーになったのでもはや「ミニ」ではないなどと、とんちんかんなことを言っているのです。)
もっとも、フォルクスワーゲンを除いてここ数年のドイツ車のデザインの下品なことは目を覆わんばかりで、とくにメルセデスベンツとBMWのセンスの悪さは、ひどいものです。メルセデスベンツの最大の売りである正面デザインは爬虫類的な攻撃性に満ちており、それでいて全体デザインは統一性に欠けた軟体動物的な曲面で覆われています。BMWはそこまでひどくはありませんが、ヌメッとした不統一性が支配的で(不統一性という統一性?)、それでいてサメのような冷淡さに満ちています。それらに比べるとミニなどまだしも愛嬌に満ちてはいますが、度が過ぎて軽快さを欠いています。BMWの下位グレードは今後全部ミニと共通車台、共通機関系になるようですから、BMW本体とミニ・ブランドのデザイン劣化は表裏一体のものとして進行中なのです。
しかし、そんなことはどうでもよいことです。基本性能と無関係な車両外板の表面的相貌などしょせんは無意味な事柄であり、自動車の設計思想を考える上では決定的要因ではありません(歩行者への衝突攻撃性の問題を除けば、せいぜい空気抵抗に少々の影響を与えるくらいでしょう)。自動車のもっとも基本的な要素は、サスペンションと動力系です。もちろんそれらはとくにステアリング特性という形で一体のものとして現れるのであり、分けて考えることはできません。とりわけFF(エンジン前部搭載・前輪駆動)の場合、サスペンション、エンジン、トランスミッション、ステアリング機構は一体のものとして組み立てられた上で、その一かたまりが組み立て工程の後半にはいった時点で車両に下から嵌め込まれ、一瞬のうちに完成形へと近づくのです。
情報隠蔽がひどいので今のところ詰めた話はできないのですが、どうやら最大の問題であるキャスタ角については、20世紀末の古い設計思想をずるずると継承した上に、その上どういうわけかその設計値を大きく下回る、低キャスタ角の車が製造販売されているのです。FRをFFにすることには、製造段階の「合理化」=コストダウンという至上命令があるのでしょうが、直進安定性の低下を招くキャスタ角の低角度設定には何の利益も意味もないはずです。角度を増やせば直進安定性が高まる一方で、必然的にせいぜいハンドルが重くなるくらいのものです。しかし、そんなものはパワーステアリングでいくらでも補正が効くのです。しかもプログラミング次第でどうとでもなる電動パワーステアリングであれば簡単に解決できるはずなのです。
それでも、ミニは2014年のマーク3において、おそらく旧モデルをそのままひきついで、4度20分という低角度キャスタ角をそのまま維持した上、実際の製造段階においては、そこから1度も下回る3度20分程度の製品として出荷されているのです。この低角度キャスタ角は、ほとんど時代遅れと言ってよいでしょう。
しかし、角度を変更するとすべての基本寸法に影響がおよび、基本骨格、サスペンション部品を全部設計し直し、すべての金型を一から作り直さなければならないことになるために、BMWは車台全体については新設計としたにもかかわらず、前輪のサスペンションとステアリング、駆動系の基本配置については一切の変更をおこなわず、旧型の設計をそのまま継承したようなのです。
これに中立付近で極度にクイックなステアリング特性と、妙に重いだけで路面フィーリングを一切伝えない異様な電動パワーステアリング特性、さらに燃費データのための低転がり抵抗タイヤによる低グリップが重合して、セルフアライニングトルク(ステアリングの中立への自己復元力)の欠如した、直進安定性の片鱗もない車両がつくられることになるのです。
路面フィーリングに欠けたステアリング特性を、しばしば「ゴムの棒を捻るような」と言うようですが、ゴムの棒ならまだ復元力が働くわけで、ミニのステアリング操作感覚を表現する言葉としては適切ではありません。ゲル状物質をかき混ぜるような、妙に抵抗があって、しかし復元力が一切感じられない触覚なのです。
さきほどの福野礼一郎の本には、つぎのような一節があります。
「ゴルフVIIの1.4に2年間乗ってからBMWアクティブツアラー218dに買い替えた知人が、「高速でぜんぜん真っすぐ走らない」と悶絶していて、お薦めしてしまった手前ちょっと心が痛んだ。」(同書、p. 46.)
福野礼一郎にして、乗ったこともない車を「知人」に薦めてしまうようなのです。それほどBMWというのは、定評のある車だということなのです。それはともかく、福野はこう続けます。
「クルマは真っすぐ走るのがなによりまず基本である。こういうときはまずアライメント調整だ。それでダメならタイヤ。大抵それで直るが、それでもダメなら初めてサスを疑う。」
アライメントとは別の、最後に疑われる「サス」とはいったいなんのことか見当もつきません。アライメント調整といっても、これらの車両のキャスタ角は(大がかりな改造でもしない限り、絶対に)調整不可能なのです。いずれにしても福野はこの車については伝聞でしか語っていないので、ここで彼の話を真に受けるのは間違いなのかもしれません。しかし、ミニと基本設計を共有するFFのBMW車両において、「真っすぐ走らない」現象が起きていることは事実のようです。ミニハッチバック・マーク3の直進安定性の欠如は、BMW本体の車両と無関係の事象ではないのです。
この問題は、たんにユーザー泣かせの不具合の放置という次元ではけっして終わりません。BMWの将来がかかっている、つまりBMWの自滅への道が大きく踏み出されてしまっていて、もはや後戻りが難しくなっている、そういう問題なのです。
製造品質
基本設計とは別に、製造過程での精度管理の問題があります。
設計値4度20分に対して、実際の車両でそこから1度もズレた値になっているのです(当該車両では左が3度24分、右が3度12分)。60進法を十進法に直して計算すると、設計値は4.33度、実車の左が3.4度、右が3.2度です。じつに25%以上も下回っているのです。
たった1度くらいどうということはない、などということはありません。たとえば、これが車体全長だとすると、4.33mのはずが、3.2mしかないということになります。代金433万円のうち、320万円しか支払わないということです。馬鹿げた比喩だと言って笑うことはできません。キャスタ角の違いは車両の性能を決定的に変えるのです。
それにしてもよくわからないのは、いったいBMWは、4度20分のつもりで製造しているのでしょうか。それとも、公称4度20分だが、実際には最初から3度20分のつもりで作っているのでしょうか。このいずれなのでしょうか。これは、BMW自身しか知りえない事実です。なんとなく後者のような気がするのですが、いくらなんでもそれではひどすぎますから、一応ここでは前者だということで話をすすめることにします。
さてそうすると、4度20分のつもりでつくっているのだが、できたものは3度20分になっているというわけで、想像を絶する事態であり、こうなるとBMWは看板をたたむことを真剣に考えるべきです。
BMWは製造品質がきわめて悪い、というだけではありません。ついでにはっきりしたのは、BMWは製造過程ではアライメントの測定はしていない、ということが歴然たる事実となったのです。ただの1台でもデタラメな数値の製品が販売されていることからも、そのことに疑問の余地はありません。しかし、たった1台の「個体差」などということではありません。F55とF56の車両を数台運転しましたが、同様のハンドリング傾向でした。調整不可能ということは、製造時の誤差などによる偏倚などではなく、全部が同じ数値になっているということです。
なにより問題なのは、これが国土交通省への届出値から大きくずれているということです。ふたたびたとえ話をしますが、国土交通省への届出値と、実際の有害排気ガスの排出量が25%ずれていたらどうなるか、という問題です(下回っていれば結構ですが、上回っていたら大変です)。しかもそのことをBMWは、隠蔽しているのです。
以上は、購入直後の車両がまっすぐ走らないことから、いわば偶然的に判明した事実です。しかし、これは車両の性能の根幹にかかわる問題であり、しかも国土交通省への届出値を大きく逸脱していることをメーカーが隠蔽しているという、あきらかな違法行為の存在が、疑いの余地なくあきらかになった問題なのです。
基本設計 サスペンションとステアリング
福野礼一郎が、「この10年間で最も期待ハズレだったフルモデルチェンジ」の例、しかも唯一の例として、F54、F55、F56、つまり、このウェブサイトで問題になっているミニ・ハッチバックのマーク3の3ドアと5ドア、クラブマンをあげています(『新車インプレ2016』2016年、三栄書房、p. 126.)。しかし、何がどのように「期待ハズレ」だったのか一切説明がないので、どういう趣旨なのかさっぱりわかりません。
この際当ウェブサイトなりに、勝手に敷衍させていただくことにいたします。すなわち、BMWのミニは、マーク2、マーク3と、キープコンセプトが過ぎて、下手をすると21世紀初頭発売の、ということは20世紀末葉設計の、いささか時代遅れのマーク1の設計思想がいまなお継承されているのです。
キープコンセプトと言われている割には、比較すると誰がみてもずいぶんな変化がおきています。全体のスタイルとしてはウエストライン以下が縦にも横にも肥大し、その分グラスエリア丈が低くなって、結局のところバランスが変化してしまっています。マーク1、マーク2の軽快感が薄れ、鈍重になっています。対歩行者衝突安全性の確保のために、ボンネットフードとエンジンとの間に空間を取る必要があり、ボンネットからウェストライン全部を引き上げざるをえなかったのだと思われます。ファニーな気分が強まったのでそういうものを好む人には良いかもしれませんが、劣化したと言えないこともありません。そのうえ細部のどうとでもなる部分では、テールランプを無意味に幅広にしてしまいました。全体にしても細部にしても、良くなったと言っている人はあまりいません。したがって太鼓持ちたちはこの件では気がつかないふりをして無言を貫いています。(そのかわりに全幅が1700ミリを超えて、3ナンバーになったのでもはや「ミニ」ではないなどと、とんちんかんなことを言っているのです。)
もっとも、フォルクスワーゲンを除いてここ数年のドイツ車のデザインの下品なことは目を覆わんばかりで、とくにメルセデスベンツとBMWのセンスの悪さは、ひどいものです。メルセデスベンツの最大の売りである正面デザインは爬虫類的な攻撃性に満ちており、それでいて全体デザインは統一性に欠けた軟体動物的な曲面で覆われています。BMWはそこまでひどくはありませんが、ヌメッとした不統一性が支配的で(不統一性という統一性?)、それでいてサメのような冷淡さに満ちています。それらに比べるとミニなどまだしも愛嬌に満ちてはいますが、度が過ぎて軽快さを欠いています。BMWの下位グレードは今後全部ミニと共通車台、共通機関系になるようですから、BMW本体とミニ・ブランドのデザイン劣化は表裏一体のものとして進行中なのです。
しかし、そんなことはどうでもよいことです。基本性能と無関係な車両外板の表面的相貌などしょせんは無意味な事柄であり、自動車の設計思想を考える上では決定的要因ではありません(歩行者への衝突攻撃性の問題を除けば、せいぜい空気抵抗に少々の影響を与えるくらいでしょう)。自動車のもっとも基本的な要素は、サスペンションと動力系です。もちろんそれらはとくにステアリング特性という形で一体のものとして現れるのであり、分けて考えることはできません。とりわけFF(エンジン前部搭載・前輪駆動)の場合、サスペンション、エンジン、トランスミッション、ステアリング機構は一体のものとして組み立てられた上で、その一かたまりが組み立て工程の後半にはいった時点で車両に下から嵌め込まれ、一瞬のうちに完成形へと近づくのです。
情報隠蔽がひどいので今のところ詰めた話はできないのですが、どうやら最大の問題であるキャスタ角については、20世紀末の古い設計思想をずるずると継承した上に、その上どういうわけかその設計値を大きく下回る、低キャスタ角の車が製造販売されているのです。FRをFFにすることには、製造段階の「合理化」=コストダウンという至上命令があるのでしょうが、直進安定性の低下を招くキャスタ角の低角度設定には何の利益も意味もないはずです。角度を増やせば直進安定性が高まる一方で、必然的にせいぜいハンドルが重くなるくらいのものです。しかし、そんなものはパワーステアリングでいくらでも補正が効くのです。しかもプログラミング次第でどうとでもなる電動パワーステアリングであれば簡単に解決できるはずなのです。
それでも、ミニは2014年のマーク3において、おそらく旧モデルをそのままひきついで、4度20分という低角度キャスタ角をそのまま維持した上、実際の製造段階においては、そこから1度も下回る3度20分程度の製品として出荷されているのです。この低角度キャスタ角は、ほとんど時代遅れと言ってよいでしょう。
しかし、角度を変更するとすべての基本寸法に影響がおよび、基本骨格、サスペンション部品を全部設計し直し、すべての金型を一から作り直さなければならないことになるために、BMWは車台全体については新設計としたにもかかわらず、前輪のサスペンションとステアリング、駆動系の基本配置については一切の変更をおこなわず、旧型の設計をそのまま継承したようなのです。
これに中立付近で極度にクイックなステアリング特性と、妙に重いだけで路面フィーリングを一切伝えない異様な電動パワーステアリング特性、さらに燃費データのための低転がり抵抗タイヤによる低グリップが重合して、セルフアライニングトルク(ステアリングの中立への自己復元力)の欠如した、直進安定性の片鱗もない車両がつくられることになるのです。
路面フィーリングに欠けたステアリング特性を、しばしば「ゴムの棒を捻るような」と言うようですが、ゴムの棒ならまだ復元力が働くわけで、ミニのステアリング操作感覚を表現する言葉としては適切ではありません。ゲル状物質をかき混ぜるような、妙に抵抗があって、しかし復元力が一切感じられない触覚なのです。
さきほどの福野礼一郎の本には、つぎのような一節があります。
「ゴルフVIIの1.4に2年間乗ってからBMWアクティブツアラー218dに買い替えた知人が、「高速でぜんぜん真っすぐ走らない」と悶絶していて、お薦めしてしまった手前ちょっと心が痛んだ。」(同書、p. 46.)
福野礼一郎にして、乗ったこともない車を「知人」に薦めてしまうようなのです。それほどBMWというのは、定評のある車だということなのです。それはともかく、福野はこう続けます。
「クルマは真っすぐ走るのがなによりまず基本である。こういうときはまずアライメント調整だ。それでダメならタイヤ。大抵それで直るが、それでもダメなら初めてサスを疑う。」
アライメントとは別の、最後に疑われる「サス」とはいったいなんのことか見当もつきません。アライメント調整といっても、これらの車両のキャスタ角は(大がかりな改造でもしない限り、絶対に)調整不可能なのです。いずれにしても福野はこの車については伝聞でしか語っていないので、ここで彼の話を真に受けるのは間違いなのかもしれません。しかし、ミニと基本設計を共有するFFのBMW車両において、「真っすぐ走らない」現象が起きていることは事実のようです。ミニハッチバック・マーク3の直進安定性の欠如は、BMW本体の車両と無関係の事象ではないのです。
この問題は、たんにユーザー泣かせの不具合の放置という次元ではけっして終わりません。BMWの将来がかかっている、つまりBMWの自滅への道が大きく踏み出されてしまっていて、もはや後戻りが難しくなっている、そういう問題なのです。
製造品質
基本設計とは別に、製造過程での精度管理の問題があります。
設計値4度20分に対して、実際の車両でそこから1度もズレた値になっているのです(当該車両では左が3度24分、右が3度12分)。60進法を十進法に直して計算すると、設計値は4.33度、実車の左が3.4度、右が3.2度です。じつに25%以上も下回っているのです。
たった1度くらいどうということはない、などということはありません。たとえば、これが車体全長だとすると、4.33mのはずが、3.2mしかないということになります。代金433万円のうち、320万円しか支払わないということです。馬鹿げた比喩だと言って笑うことはできません。キャスタ角の違いは車両の性能を決定的に変えるのです。
それにしてもよくわからないのは、いったいBMWは、4度20分のつもりで製造しているのでしょうか。それとも、公称4度20分だが、実際には最初から3度20分のつもりで作っているのでしょうか。このいずれなのでしょうか。これは、BMW自身しか知りえない事実です。なんとなく後者のような気がするのですが、いくらなんでもそれではひどすぎますから、一応ここでは前者だということで話をすすめることにします。
さてそうすると、4度20分のつもりでつくっているのだが、できたものは3度20分になっているというわけで、想像を絶する事態であり、こうなるとBMWは看板をたたむことを真剣に考えるべきです。
BMWは製造品質がきわめて悪い、というだけではありません。ついでにはっきりしたのは、BMWは製造過程ではアライメントの測定はしていない、ということが歴然たる事実となったのです。ただの1台でもデタラメな数値の製品が販売されていることからも、そのことに疑問の余地はありません。しかし、たった1台の「個体差」などということではありません。F55とF56の車両を数台運転しましたが、同様のハンドリング傾向でした。調整不可能ということは、製造時の誤差などによる偏倚などではなく、全部が同じ数値になっているということです。
なにより問題なのは、これが国土交通省への届出値から大きくずれているということです。ふたたびたとえ話をしますが、国土交通省への届出値と、実際の有害排気ガスの排出量が25%ずれていたらどうなるか、という問題です(下回っていれば結構ですが、上回っていたら大変です)。しかもそのことをBMWは、隠蔽しているのです。
以上は、購入直後の車両がまっすぐ走らないことから、いわば偶然的に判明した事実です。しかし、これは車両の性能の根幹にかかわる問題であり、しかも国土交通省への届出値を大きく逸脱していることをメーカーが隠蔽しているという、あきらかな違法行為の存在が、疑いの余地なくあきらかになった問題なのです。