鬼怒川決壊前後数日間の水位変化

14, Sep., 2015

 水害発生の前後の鬼怒川の水位変化データをみることにします。

 

 国土交通省の「水文水質データベース」

http://www1.river.go.jp/

に河川水位のデータが掲載されています。(水文〔すいもん〕とは、水文学 hydrology 上の用語)

 

 手っ取り早く鬼怒川の水位観測所のページに行くには、

http://www1.river.go.jp/cgi-bin/SrchWaterData.exe?ID=303031283307160&KIND=2&PAGE=0

このURLのページの左中程の年月だけ指定すれば良いのですが、こんご他の河川をみることもあるでしょうから、ここまでをウェブサイト上で探す手順を、以下、サイトマップ的に示します(記憶力のよわい自分用のメモです。なお、リンクを設定した場合は、知らせてよこせなどと公的機関にあるまじき要求をしているので、URL表示や、各ページの画面コピーには「リンク」は設定していません)

 今は飛ばして、ずっと先の「ここから本題」とあるところの目指すデータをみていただいて結構です。

 

 「水文水質データベース」のトップページ(いわゆる「ホームページ」)はこのようになっています。

 

 左のコラム(欄)の青・紫・緑色のメニューではなく、中央の本文コラムに「観測所の検索」として3つある大きなボタンのうちの左側のピンクのボタン「観測所諸元からの検索」をクリックします。(このweglogのページは画面コピーですから反応しません。本物のほうをクリックしてください!)

 現れた選択画面で、「観測項目」を「水位流量」に選択し、「水系」などは指定せずに(してもよいのですが大変苦労します)、その右の「河川名」に「鬼怒川」とタイプし、「検索」ボタンを押します。

 

 

  結果としてでてくる16件の最後が、観測所名「鬼怒川水海道」=所在地「茨城県常総市本町」です。これをクリックします。 すると「水文水質観測所情報」として「鬼怒川水海道」があらわれます。

 


 画面の下に青いボタンがぞろぞろ出てきます。その2段目一番左の「水位月表検索」を押すと、次の「時刻水位表検索」画面になります。

 

 

 画面下部の表は登録されているデータの西暦末尾一桁の一覧ですが、そこを押しても反応しません。指定はその左上の「年月入力」に西暦年と月をタイプして「検索開始」ボタンを押します。

 


ここから本題

 

 これで、目指すデータが表示されます。クリックするとポップアップし、拡大表示できます。

 

 

 9月にはいってから7日までは、おおむねマイナス3m70cmから50cmの間で推移しています。

 変化があらわれるのは8日午後からですが、それでも1時間に2〜3cm程度です。9日(決壊前日)午前6時ころから1時間あたりの上昇幅が5cm以上となり、15時以降上昇幅が増大し、20cmから40cmずつ上昇します。

 日付がかわって10日午前1時ころから、上昇幅は極端に上昇し、1時間あたり、50cmから1m近くも、連続的に上昇します。

 上流の若宮戸で「越水」が起きたのが7時40分です。8時の「鬼怒川水海道」の水位はプラス6m24cmですが、その後も上昇をつづけます。

 正午を過ぎ、10日午後12時50分に、若宮戸とこの「水海道」の中間地点にある三坂町で「決壊」が起きました。「水海道」では直後の13時がプラス8.06cmですが、上流の三坂町で大量の河川水が堤内(東岸側)に流入したためでしょうか、これがピークとなり、以後は10時間で水位は2m以上低下します。24時間後の11日13時には、ピークから4m以上低下します。

 

  これは「越水」「決壊」地点の下流側です。上流側の下妻市の「鎌庭(かまにわ)」のデータは次のとおりです。(おなじように操作して閲覧できます。この2地点の間にはもちろん数十カ所の水位観測用スケールがありますが、目視式のものがほとんどで、このようにおそらく無線通信でデータ送信され、即座にウェブサイトにまで表示される観測地点はないようです。)


 

 

 ここでも同様にして、「決壊」時刻直前の10日12時がピーク(5.76m)であり、以後急速に水位が低下します。

 鬼怒川を流下した水量と、氾濫して東岸に流入した水量の比率、ならびに絶対量などは今後調べることにします。(現在、その程度の基礎的なデータもなしに書き散らすのは愚かなこととは存じますが……)素人考えでも、若宮戸と三坂町での氾濫によって、結果的に鬼怒川の水位が大幅かつ急激に低下し、他地域での氾濫が回避されたことは明らかでしょう。下流側だけではありません。河道の傾斜の急峻な河川であれば下流の状況が上流に遡及的に影響することはないでしょうが、鬼怒川のように、(ミシシッピやナイルほどではないにしても)平坦な地形を流れる傾斜の緩やかな河川であれば、 下流での流出量の多寡は、当然上流側へも反射的に影響を及ぼすことになります。河口から海洋・湖沼への流出であろうが、大河川への合流(鬼怒川の場合は利根川への合流=ここにも大きな問題がありますが後日のこととします)であろうが、あるいはまた調整池への流出(菅生沼調整池。これも後日)であろうが、あるいは今回のように市街地・耕地への氾濫であろうが、いかなる理由であれ流下量が増大すれば、当然上流側にも水害回避の効果をもつといえるでしょう。


 バルーンは、上から順に、「鎌庭観測所」(下妻〔しもつま)、 越水地点の常総市若宮戸、決壊地点の常総市三坂町、「鬼怒川水海道観測所」(常総市 旧水海道〔みつかいどう

(ときどき表示がおかしくなり、バルーンが出てこないことがあります。)

 

 

(蛇足)

 もし若宮戸や三坂町での「越水」「決壊」がなければ、今回は氾濫をまぬかれた地域のどこかで(しかも1か所とは限りません)同様の水害がおきていたことは確実です。

 ああよかった、と安堵の胸をなでおろすことはできません。今後、「越水」「決壊」した2か所は補修され、さぞやりっぱに増強されることになるでしょう。もう二度とそこは決壊しないでしょう。ですから、次は結城市、下妻市、八千代町、つくばみらい市、守谷市、あるいは常総市の鬼怒川西岸地域で、ほぼ確実に氾濫がおきるのです。

 その時期もすでにわかっています。今回の降雨は「50年に一度」なのだそうですから、次は2065年、現在のこどもたちが老人になるころでしょう。なお「線状降雨帯」がちょっと東にずれれば小貝川が氾濫し、つくば市、つくばみらい市、取手市、(右岸の方が可能性が高いようなので)もういちど常総市が水害に見舞われることでしょうし、西ならば渡良瀬川・利根川が氾濫し一層広範な地域で大水害が起きるでしょう。その時、東京では「地方」の治水をおろそかにして予算と建材、労働力を集中投入して建設された2020年オリンピックの時の老朽施設があいついで水没することになるでしょう。