三坂における堤防決壊

 

「三坂町」について、国土交通省は「越水による破堤」だと最初から決めていました。水害は、豪雨による水位上昇が原因の「自然災害」だと言いたかったのです。しかし、その目論見は東京大学・芳村圭准教授の浸透痕跡発見で挫折しました。国土交通省が「調査委員会」に提出した資料をよく読めば、越水と浸透が決壊の共働原因(複合的原因)であったことを認めているのです。

 

 

 鬼怒川水害最大の氾濫地点は常総市中部の比較的標高の高い自然堤防地帯である三坂でした。165mにわたって堤防が完全に崩壊したのですが、そのメカニズムはまったく解明されていません。氾濫地点の巨大な穴(押堀)のうえに造成された復旧堤防はすでに沈下変形し始めています。あの地点には、注目すべき特異性があるのですが、誰も気づかないか、気づいていてもわざと知らぬふりをしているのです。

 

鬼怒川水害まさかの三坂 1

三坂の「決壊」幅は195mで、「破堤」したのはそのうち165mです。それらを詳細に見てゆくのですが、手元にあるのは、現場で河川巡視員や住民が命がけで撮影した写真とビデオ、それと対岸の監視カメラの映像です。

鬼怒川水害まさかの三坂 2

三坂の「決壊」幅195mを6区間に区分します。2時間も越水していたのに破堤しなかった区間、地盤沈下によりほかより70cm以上も低くて激しく越水していたのに真っ先に破堤したのではない区間、など6区間に区分します。

鬼怒川水害まさかの三坂 3

11:10に堤防上を走行していた国交省の車両が、三坂付近で越水が起きているのをたまたま発見し、鎌庭出張所に状況を報告しました。11:30ころまでには下館河川事務所に緊急連絡がはいり、ただちに常総市役所に通報されたはずです。

鬼怒川水害まさかの三坂 4

12:00ころ委託企業職員が、その直後に国交省職員が、それぞれ小型ライトバンで通りかかり、激しく越水する様子や、川裏側法面に開いた大穴を撮影します。ここまでが破堤前です。

鬼怒川水害まさかの三坂 5

対岸の将門川の篠山水門に監視カメラが設置されていて、破堤直後の12:52以降、何枚かの静止画を撮影し、さらに13:23以降は連続的に動画を撮影していました。

鬼怒川水害まさかの三坂 6

篠山水門の監視カメラ映像の続きです。対岸から水平に撮影したので、堤内の様子はわかりにくいのですが、破堤点から上・下流に向けて、堤防が順次流失する様子が連続的にとらえられています。

鬼怒川水害まさかの三坂 7

破堤した堤防の直下にあった住宅で、住民がビデオカメラで堤防の様子を撮影していました。破堤したとされる12:50の直後から、13:00ころまでの映像ですから、破堤のメカニズムを解明する上で極めて重要です。

鬼怒川水害まさかの三坂 8

破堤から30分以上経過した13:27以降、国交省職員が上流側の堤防天端上から撮影した写真です。

鬼怒川水害まさかの三坂 9

篠山水門の監視カメラ映像の3回めです。13:50ころから約20分間にわたり、すでに氾濫水に激しく洗われている堤内の1点から、4m近い水煙が立ち上る様子が写っています。じつに不思議な現象です。

鬼怒川水害まさかの三坂 10

三坂の破堤した堤防に沿った高水敷には、不思議なことに段差があり、そこが水害の翌日、大量の砂を吐出して崖面崩壊をおこしたのです。ちょうど、水煙があがっていたあたりと、堤防をはさんで線対象の位置です。

鬼怒川水害まさかの三坂 11

三坂の2段になった高水敷の崖面の崩壊現象は、以後も続き、さらにところどころで大規模な開口が形成されました。地下地盤から大量の水を含んだ砂が噴出したのです。

 

(決壊した三坂の堤防の6区分の距離はもとより概数ですが、訂正しました。Aug., 28, 2020)